防犯対策マニュアルを整備している店舗は、そうでない店舗よりも万引きなどによる売上げが維持できています。防犯対策マニュアルを効果的に機能するため、どのようなつくりかたをすればいいのかのポイントをお伝えします。
店舗の防犯グッズの場所の周知
店舗によっては、隙間時間にバイトが交代するなど短時間の勤務の人もいます。社員だけが防犯グッズの場所を知っているというのでは、もしものときの対応に不都合が生じます。まずは店舗の図面を拡大したものをマニュアルの最初に描き、防犯グッズの場所を指定し、従業員に周知させます。
もしものときの対応をシミュレーション
もしも、万引き犯を見つけた場合、作業をしながらの対応は難しいことも。そこで、「万引き犯がきている。」と全員にわかるような隠語を準備しておくといいでしょう。例えば、飲食店なら食事をしている人が聞いても不安や、食欲がなくなるような言葉ではなく、何かの食材でもいいのではないでしょうか。ただ、知らない人がいたら意味がないので、マニュアルに書いておき、周知する必要があります。
小売店などの店舗では、レジ対応をしている時や、裏で伝票整理をしている時などは、来客を放任していることも。そのような場合、入り口に来客が通れば、メロディーや自然音がなるような心地よい音システムをつくるなどし、その度に接客し来客に声掛けをするのがポイントです。犯罪者は音、光、人の目を嫌います。また、万引き犯はストレスを抱えており、物欲でなく物寂しさから盗むこともあるので、笑顔の声掛けで犯行をとどまることもあります。それをマニュアルに記入しておきましょう。
すぐに通報できるシステムづくりを
また、すぐに警察に通報するなどできるような、システムづくりをしていく必要があります。不審者を見つけ、全員に周知したとしても通報するのは1人で十分です。その時、どこで通報するのか、電話はどうするのかなどが必要です。当番制にしておき、緊急通報ができるように、金庫に当番のスマホなどを入れておくことも有効です。
・全員に万引き犯を周知→当番が店舗内にある金庫からスマホをとりだし警察へ通報
もし、店舗から遠いロッカーなどにスマホを置いているなどすると時間がかかり、その間に万引き犯が逃げる可能性もありますから。店舗内に電話が設定されている場合は、当番を決めるだけでよく、もしもの場合はその人が通報すればいいだけのことです。
また、万引き犯に対する対処法もシュミレーションしておく必要があります。女性店員の場合、腕力もなく、万引き犯に恐怖をおぼえる人もいるでしょう。冷静に通報し、目視するだけでも違います。先ほどの金庫に、デジカメを設置しておき、もしもの時は証拠写真のために、犯人を撮影しておく対策だけでも防犯対策として効果的なのではないでしょうか。簡単な護身術を身に着ける意欲のある人がいれば、講習を実施するのもいいでしょう。その旨をマニュアルに詳しく書いておき、当番表などもつくってみてはいかがでしょうか。
従業員の身に危険を感じた場合、非常出口が必要です。その時、手ぶらで逃げるのもありですが、できれば、店の売り上げにかかわる金銭や重要アイテムも簡単に持ち運びできるようなシステムづくりも必要です。金庫の中に持ち運び可能な金庫を準備しておくなどし、それをマニュアルで従業員に周知すること、従業員の私物もすぐに持ちだせるように普段からしておくことなどがポイントです。
もしもの場合を想定した店舗の防犯対策のマニュアルづくりを
大切なのは、具体性です。もしもの場合でなく、従業員がみずから防犯意識を高めることができるようなシステムづくりをマニュアルに反映させれば、配布だけにおわることはないのではないでしょうか。