防犯カメラとプライバシーについて

防犯カメラの設置や画像の取扱では、プライバシーに配慮が必要です。カメラが高性能になり、顔認証の技術が進んでいますし、データの重みが増し、取られる側の人権に配慮した設置を考えなければなりません。防犯カメラとプライバシーの問題についてお話しましょう。

■マンションで損害賠償の例

防犯のため、マンションの入り口やエントランスにカメラを設置しているのは、当たり前というイメージがありますが、住人からの「損害賠償請求と、カメラの撤去」の訴えが、
一部認められた事例があります。(東京地裁平成27年11月5日判決)
設置者側の言い分では、防犯目的なのですが、撮影が常に行われていることから、住人の日常生活が常に把握されている状態だとして、プライバシーの侵害に対し10万円の慰謝料を認める判決が出たのです。
ただし、監視目的ではなく悪質性が低く、記録が2週間ほどで上書きされるタイプだったことから、4台のカメラのうち、撤去が認められたのは1台でした。
受付で名簿への記入を求めた場合にも、半年ほどで個人情報を破棄しなければなりません。
防犯カメラの記録も、短期間で上書きされていく場合は、『個人情報取扱事業』としての縛りを受けなくて済むのです。

■防犯カメラ設置で気をつけること

『カメラでの撮影を知らせる』
民間の設置者が画像記録している場合には、カメラで撮影していることを知らせるなければなりません。

『目的相応のスペック』
会議室の空き状況の確認などが目的ならば、ごく解像度の低いもので対応します。顔がハッキリ写るものや、音声が録音できるものは会議内容の記録や、監視目的とされる場合があります。

『顔認証など便利な機能を導入したい』
施設利用者の入退室を顔認証で管理する場合には、同意書が必要になります。
鉄道警備などセキュリティ目的での導入では、それによって得た情報を他に流用しないことを前提に利用されています。
しかし、店舗の万引き対策で顔認証を利用している場合には、訴訟になる可能性があります。

■防犯カメラとプライバシー

生活の安全に役立つ防犯カメラですが、設置場所、撮影方法、記録期間など、配慮しなければプライバシーの侵害を問われることがあります。
「セキュリティ向上のため設置を考えているけれど、どんな風に導入したらよいかわからない…」という場合には、防犯対策についてのコンサルタントなど、専門家に相談して、安心して運用できるシステムを設計してもらうと良いでしょう。