福祉施設の防犯対策について

福祉施設では、介助が必要な方たちが集まって生活しています。限られた職員が、本来の職務に集中するには、警備システムを導入した、防犯対策が必要でしょう。福祉施設での防犯カメラ導入では、見守り業務の軽減に利用できる面もあり、あわせて検討したいですね。

■福祉施設での防犯対策強化の流れ

2016年神奈川で起こった福祉施設での痛ましい事件をうけて、厚生省から福祉施設の防犯について通知が出され、防犯対策の見直しが各地で行われています。

(参考)社会福祉施設等における防犯に係る安全の確保について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000137379.pdf

この中では、日頃から危機管理意識を高めること、防犯設備の整備、点検についても触れられています。
来訪者は必ず受付を通るレイアウトにし、職員が身分証をつける、声掛けをするなど、日頃から利用者と職員の区別がつくようにして、リスクを軽減させる方法が紹介されています。
日常的にこうした行動をマンネリ化させずに、丁寧に取り組んでいくことが大切なのです。
思いもかけないとんでもないことが起こる世の中なのですから、最悪の事態を想定して対策をとっておくことが、入居者・利用者の安全確保につながります。

■防犯カメラの導入について

“警報装置・防犯監視システム・防犯カメラ・警備室等につながる防犯ブザー・職員が常時携帯する防犯ベル等の導入による設備面からの対策(そのような対策をしていることを施設内に掲示することも含む)”として、できる範囲で設備を整えて活用するように促しています。
また、警備会社やコンサルタントを利用して、安全性を高めていくこと、一定期間ごとの点検、暗証番号やキーの管理についても触れています。
自治体が運営する規模が大きな施設では、もちろん、防犯カメラやセキュリティシステムの導入が当たり前になっていますが、規模の小さなグループホームなどの施設では、予算上難しいというケースもあるでしょう。
しかし、個人住宅向けの防犯カメラを組み合わせるなど、設計によっては、低予算で求めるパフォーマンスを引き出すことができますから、業者に相談してみると良いでしょう。

■業務効率アップのメリット

福祉施設では、人の手を必要とする業務が大変多く、防犯カメラを利用して見守り業務の負担が軽減できるケースがあります。
プライバシーや人権の問題に配慮しなければなりませんが、徘徊やベッドからの転落、入居者同士のトラブルなど、異常にいち早く気づくためのツールとして活用できるメリットがあります。
防犯対策とあわせて、施設内の安全保持に向けた設計を、専門業者に問い合わせてみると良いでしょう。